設立
趣旨
近年、救命医療の進歩により、かつてなら命を失っていたであろう救急搬送者の一命が取り留められることが多くなりました。他方、命は救われても、脳卒中、低酸素脳炎や脳炎、脳腫瘍等の原因による脳損傷も増えており、また、交通事故等の外傷による外傷性脳損傷も増加しています。
こうした脳損傷によって、1)体の麻痺や失語症、平衡機能障害などの身体障害、2)注意力、記憶、遂行機能などが障害される認知障害、さらに、3)発動性の低下やうつ状態などの精神的症状が、複雑に組み合わされた障害をもたらします。これらの障害を持つ人は、急性期病院、回復期病院、そしてその後、外来リハビリテーション、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等によるリハビリを受けることになります。
こうして症状が良くなって、元の職場、学校に戻れる人も増えています。ある程度障害を残す人は、障害者就労、就労支援施設などに通所します。また、こうした施設にも馴染めない人、作業ができない人の多くは、在宅で家族が介護をするか、あるいは、重度の知的障害や精神障害を中心とする施設を利用することになります。こうしたところでは、脳損傷者にあった対応が十分なされていないのが現状です。
堺市の「なやクリニック」においては、こうした重度の脳損傷者の診療、リハビリも行ってきましたが、就労を目的にした人達への対応とはあまりにも異なるため、難しいのが現状です。また、1〜2年で改善する人がいる一方、重度脳損傷者の改善には長期間を有するにもかかわらず、医療のリハビリには期間制限があります。
自分の思いが他人に上手く伝えられず、行きたい所に自由に行けず、食べたものが何であったかを忘れてしまうような重度の脳損傷者を受け入れ、ゆっくりリハビリを行う場所が、今は全くありません。
こうした人々のリハビリを行い、より良い対応方法を勉強し、ケアをする家族やヘルパーを援助・支援する中心的な組織が必要であるという思いに至りました。
その目的を達成すべく、組織の基盤を確立し、情報公開を進めることにより社会的な信用を確保し、重度脳損傷者に緩やかなリハビリテーションを提供し、地域社会と脳損傷者、及び、その家族がより良い生活を営めるよう努めていくため、特定非営利活動法人として活動することが必要と考え、ここにNPO法人ヘッドウェイさかいを設立するものです。